出刃包丁の研ぎ方を初心者向けに解説|片刃の研ぎ方・裏押し・糸刃まで

魚を食べる

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魚を捌くのが好きで、出刃包丁を使っていると、必ず悩むのが「研ぎ方」です。

私も以前は砥石を持っておらず、研ぎ方も知らないまま、切れ味の悪い包丁で魚を捌いていました。出刃包丁は片刃で、両刃の包丁とは研ぎ方が違うため、最初は「どこを砥石に当てればいいのか」さえ分かりませんでした。

現在は、源泉正の白鋼の出刃包丁165mmを2年以上、自分で研ぎながら使っています。

この記事では、私が普段行っている出刃包丁の研ぎ方を、実際の手順に沿って紹介します。片刃の構造や裏押し、糸刃といった基本的な考え方も、初心者の方に向けて説明します。

この記事で分かること

  • 出刃包丁(片刃)の構造と、研ぐ前の注意点
  • #1000 → #6000 → #8000 → 革砥の研ぎ方の手順
  • 裏押しのやり方と、糸刃を付ける方法
  • 砥石の面直しなど、日常のメンテナンス
  • 私が経験した失敗と、今も悩んでいること

なお、私は包丁研ぎの専門家ではなく、趣味で魚を捌きながら自己流で研ぎ方を覚えてきた一人です。そのため、記事の中では「一般的に言われていること」と「私のやり方」を分けて書いています。あくまで一つの例として、参考にしてください。

出刃包丁を研ぐために必要な道具

出刃包丁を研ぐために、私が使っている道具は次のとおりです。

道具役割私の使い方
#1000の中砥石切れ味が落ちた刃先を研ぎ直す普段の研ぎは、基本的にここから始める
#6000の仕上げ砥石#1000でできた傷を細かく整える#1000/#6000の両面砥石の裏面を使用
#8000の仕上げ砥石最終仕上げ・糸刃付けキングの吸水不要タイプ
面直し砥石砥石の平面を整える使う前に毎回使用
自作の革砥と青棒研いだ後の刃先を仕上げる毎回、青棒を塗ってから使用

砥石の種類や使い心地は、別の記事で詳しく紹介しています。

和包丁の砥石レビュー|2年以上使った砥石と研ぎ方・メンテナンス用品を紹介

これから始める方は、最初からすべてをそろえる必要はありません。私の場合も、まずは#1000の中砥石と、砥石の平面を整える面直し砥石があれば、研ぎの基本は覚えられると考えています。

#6000や#8000の仕上げ砥石、革砥は、研ぎに慣れてから必要に応じて追加すれば十分です。刃こぼれがあるときだけ、#220や#800といった荒い砥石を使います。荒い砥石は刃が減りやすいので、普段の研ぎには使いません。

出刃包丁と研ぎに使用する砥石、面直し砥石、自作の革砥、青棒を並べた写真

ちなみに、ここで研いでいる包丁は源泉正の白鋼の出刃包丁165mmです。2年以上使った感想は別記事にまとめています。

源泉正の出刃包丁・切付柳を2年以上使ったレビュー|切れ味・研ぎやすさ・デメリット

出刃包丁の片刃構造と研ぐ前の注意点

出刃包丁は「片刃」|表と裏で役割が違う

出刃包丁は、刃が片側だけに付いている「片刃」の包丁です。三徳包丁のような両刃の包丁と違い、表側に斜めの刃(切刃)があり、裏側はほぼ平らになっています。

研ぐときによく出てくる各部の名前は、次のとおりです。

名称場所・役割
切刃(きりは)表側の、刃先から斜めに研がれた面
鎬(しのぎ)切刃の上端にあたる、角になっている部分
切先(きっさき)包丁の先端
アゴ刃の根元側の端
裏平らな裏側。中央がわずかに凹んでいて(裏すき)、刃先の縁だけが平らに残っている
刃先包丁の最も薄く鋭い部分で、実際に食材を切るところ。研ぐことで切れ味を回復させる部分です。

研ぐときは、主に表側の切刃を砥石に当てて研ぎ、裏側は最後にカエリを取る程度に軽く当てるのが基本です。

研ぐ前に知っておきたい注意点

  • 砥石を安定させる:砥石がずれると、刃の角度が安定せず、ケガの原因にもなります。私の砥石は台座付きなので、動きにくくて助かっています。
  • 刃先に指を当てすぎない:研いでいる間は、指が刃先の近くにあります。力を入れて押すときほど、手が滑らないように注意してください。
  • カエリの確認は慎重に:カエリとは、研ぐことで刃先の反対側にめくれ出た、薄い金属のことです。確認するときは、指の腹を刃の裏を刃先に向かって滑らせて刃先のひっかかりを確認します。刃先に沿って指を滑らせるのは危険なので、避けてください。
  • 研ぐのは、切れ味が落ちたと感じたとき:私は使うたびに研ぐのではなく、切れ味が落ちてきたと感じたタイミングで研いでいます。
  • 鋼の包丁は、研いだ後の水分に注意:白鋼の包丁は、濡れたまま置くとサビが出ることがあります。研いだ後は、必ず洗って水分を拭き取ってください。

ここに書いている研ぎ方は、あくまで私が趣味で行っている方法です。包丁の種類や状態によって、適した研ぎ方は異なります。

出刃包丁の研ぎ方【#1000から革砥までの手順】

私の出刃包丁の研ぎ方の流れは、次のとおりです。

手順使うものやること
0面直し砥石砥石の平面を整える
1#1000切刃をベタ付けして研ぎ、カエリを出す
2#6000刃先を細かく整える
3#8000糸刃を付けて仕上げる
4革砥+青棒最後にカエリを取り、刃先を整える
出刃包丁の切刃を砥石に当て、指で押さえながら研いでいる様子
出刃包丁を砥石に当てて研ぐ際の角度を横から撮影した写真

各段階で、カエリの状態を見ながら裏押し(後述)を行います。

手順0|まず砥石の面直しをする

研ぎを始める前に、使う砥石の面を整えます。

研いでいると、包丁が当たる部分だけが削れて、砥石の面が平らではなくなります。面が凹んだ砥石で研ぐと、刃の角度を安定させにくくなります。そのため私は、すべての砥石で、使う前に面直し砥石で平らにしています。

詳しいやり方は、記事後半の「砥石の面直しと日常のメンテナンス」で紹介します。

手順1|#1000で切刃をベタ付けして研ぐ

最初に、#1000の砥石で刃先を研ぎ直します。

出刃包丁は片刃なので、基本は表側の切刃を使います。私は刃先から鎬までを、砥石にベタッと当てて研いでいます。これを「ベタ付け」と呼んでいます。

  1. 砥石に水をかけ、面直しをした砥石を安定させる
  2. 切刃(刃先から鎬まで)を砥石にぴったり当てる
  3. 指は、鎬の少し下あたりに置く
  4. 押すときに力を入れて研ぐ
  5. 指の位置を変えながら、刃先からアゴまで、均等に研ぐ
  6. 30〜40回ほど研いだら、カエリを確認する

指の位置を変えるのは、同じ場所ばかりを研いでしまうのを防ぐためです。一か所だけ強く当たると、刃が均等に研げません。

30〜40回というのは、あくまで私の目安です。包丁の状態や、切れ味の落ち具合によって変わります。

切先は、アゴ側に比べて、砥石にしっかり当てにくい部分です。私は切先だけ、当て方を少し変えて研ぐようにしています(詳しくは、後半の失敗談で書いています)。

カエリが出たか確認する

30〜40回ほど研いだら、刃の裏側を指で確認します。裏側に、薄いカエリが刃先に沿って出ていれば、刃先まで研げているサインです。

カエリの状態を見て、次のどちらかを決めます。

  • カエリが十分に出ていない、または均一でない → 表側を追加で研ぐ
  • カエリがしっかり出ている → 裏押しをして、次の砥石へ進む
カエリが出た状態の包丁の切先部分
カエリが出た状態の包丁の切先部分

手順2|#6000で刃先を細かく整える

#1000で刃先を研いだら、#6000の砥石に移ります。#6000は#1000より粒子が細かく、研いだ感触も滑らかです。

当て方は#1000と同じように、切刃をベタ付けして、刃先を細かく整えていきます。ここでも、カエリの状態を見ながら、必要に応じて裏押しをします。

手順3|#8000で糸刃を付けて仕上げる

最後に、#8000の砥石で仕上げます。私が使っているキングの#8000は、使う前に水へ長時間浸す必要がない、吸水不要のタイプです。

ここで、糸刃を付ける前に、#8000の面直しもしています。

糸刃の付け方は、私の場合、次のとおりです。

  1. 切刃をベタ付けした位置から、峰側を数ミリ持ち上げる
  2. その角度を保ったまま、切先からアゴまで、表側だけを研ぐ
  3. カエリが出たら、裏押しをする
出刃包丁の切刃を砥石に寝かせて当てた状態を横から見た写真
出刃包丁の峰側を少し持ち上げ、糸刃を付ける角度にした状態

角度についての補足

「数ミリ持ち上げる」というのは、私の感覚に基づいた目安です。実際に角度を測っているわけではないので、厳密な数値ではありません。ごくわずかに立てる、というイメージで考えてください。

糸刃については、次の章でもう少し詳しく書きます。

手順4|革砥で仕上げる

砥石で研いだ後は、自作の革砥で仕上げています。出刃包丁でも、刺身を引く切付柳でも、どちらにも使っています。

  1. 革砥に、青棒を塗る(私は毎回塗っています)
  2. 糸刃を付けたときと同じか、それより少しだけ包丁を寝かせて当てる
  3. 刃を引く方向に動かし、数回当てる
  4. カエリが気にならなくなるまで繰り返す
出刃包丁を革砥に当てる際の角度を横から見た写真
革砥に当てる時の角度を横から見た写真

革砥は、刃を引く方向へ動かすことが大切です。刃先が革に食い込んでしまうので、押す方向には動かさないでください。

出刃包丁の裏押しのやり方

裏押しとは?

片刃の包丁は、表側を研ぐと、裏側にカエリが出ます。このカエリを取り、裏側の刃先を整える作業が「裏押し」です。

裏側には、中央に浅い凹み(裏すき)があり、刃先の縁だけが平らに残っています。裏押しでは、この平らな縁の部分を砥石に当てます。

「裏すき」は凹みの部分の名前で、「裏押し」はその縁を砥石に当てて整える作業のことです。

私の裏押しのやり方

私の裏押しは、とても簡単です。

  1. 指でカエリを確認し、気にならなくなる程度を目安にする
  2. 包丁の裏側を、砥石にぴったりと当てる
  3. アゴから刃先に向かって、撫でるように数回研ぐ
出刃包丁の裏側を砥石に平らに当てて裏押ししている様子

力を入れて何回も研ぐのではなく、軽く数回で止めるのがポイントだと考えています。

裏押しの注意点

一般的に、裏押しは次のような点に注意が必要だと言われています。

  • 裏側は、砥石に平らに当てる(角度を付けない)
  • やりすぎない(裏側の縁の幅が広がると、切れ味や刃の減りに影響する)
  • カエリを取るための作業なので、表側を研ぐ回数のほうが多いのが基本

私の場合も、裏押しは毎回「数回」にとどめ、表側の研ぎをメインにしています。

糸刃とは?私が#8000だけで糸刃を付けている理由

糸刃とは

糸刃とは、刃先のごく狭い部分に、切刃よりも少しだけ立てた角度で付ける、小さな刃のことです。

刃先の強度が上がり、欠けにくくなる場合があると言われています。出刃包丁は骨や硬い部分に当たる機会が多いため、糸刃を付ける人もいます。一方で、付けない人もいますし、角度や幅によって切れ味は変わります。つまり、糸刃は必ず必要というわけではなく、好みや使い方によって選ぶものです。

以前は#6000から付けていたが、今は#8000だけ

以前の私は、#6000の段階から糸刃を付けていました。

しかし、続けているうちに、#6000から糸刃を付けると、その後の#8000でカエリが出にくくなることに気づきました。そこで今は、#6000までは切刃をベタ付けして研ぎ、#8000のときだけ糸刃を付けるようにしています。

なぜカエリが出にくくなるのか、はっきりした理由は私には断定できません。また、これは私の包丁と研ぎ方での経験なので、同じ結果になるとは限りません。

初心者の方は、無理に糸刃を付ける必要はありません。まずは、切刃をベタ付けして、カエリを出して取るという基本ができるようになってから、必要に応じて試してみてください。

砥石の面直しと日常のメンテナンス

砥石の面直しのやり方

砥石は、研いでいるうちに、必ず包丁が当たる部分が削れて、平らではなくなります。

面が凹んだ砥石で研ぐと、刃の角度が安定せず、刃先が均等に研げなくなります。私の場合は、すべての砥石で使う前に面直しをしています。また、#8000では、糸刃を付ける前にも、もう一度面直しをしています。

面直し砥石を使って砥石の表面を平らに整えている様子

面直しをすると、砥石の面が少しずつ減っていきます。包丁だけでなく砥石にもメンテナンスが必要なのは、少し手間ですが、安定して研ぐために欠かせない作業だと思っています。


研いだ後の手入れ

鋼の出刃包丁は、使用後の水分や汚れが残っているとサビが発生することがあります。

私は軽いサビが気になるときには、サビトールを使って手入れをしています。

ただし、サビトールは研ぎ直しの代わりになるものではありません。また、強くこすると包丁の表面に細かな傷が付く場合があるため、目立たない部分で確認しながら慎重に使用しています。

普段から使用後は汚れを洗い落とし、水分をしっかり拭き取って乾燥させることが大切です。

出刃包丁の研ぎで私が経験した失敗と悩み

切先が砥石に当たらず、形が崩れた

私が経験した失敗の一つが、切先の形が崩れてしまったことです。

切先は、アゴ側に比べて、砥石にしっかり当てるのが難しい部分です。切先が砥石にしっかり当たらないまま研いでいると、形が崩れてしまいました。

出刃包丁の切先の形状と刃先のラインを写した接写写真

それ以降は、切先だけ、当て方を少し変えて研ぐようにしています。刃全体を研いだ後、切先が砥石にしっかり当たっているかを確認するのも、習慣にしています。

複数の包丁を研ぐと、指の腹が擦り切れる

失敗とは少し違いますが、地味に悩んでいるのが、指の腹の痛みです。

1本だけならよいのですが、2本以上の包丁を続けて研ぐと、指の腹が砥石に擦れて、擦り切れて痛くなります。

対策として、ニトリルゴム手袋を試したことがあります。しかし、砥石に擦れてすぐに破れてしまいました。また、指先の感覚が分かりにくくなるので、今は何も対策をしていません。

まだ解決できていない悩みですが、次のような方法は試してみる価値があるかもしれません(私自身はまだ効果を確認していません)。

  • 指の腹に、薄いテープなどを貼る
  • 指の位置をこまめに変えて、同じ場所が擦れ続けないようにする
  • 一度に複数本を研がず、日を分ける

よい方法を見つけたら、この記事に追記する予定です。

荒い砥石で研ぎすぎない

荒い砥石(#220など)は、短時間で刃を削れる反面、研ぎすぎると刃が減ってしまいます。刃こぼれがないときは、#1000から始めるのがよいと感じています。

まとめ|出刃包丁の研ぎ方は「ベタ付け→カエリ確認」が基本

今回は、私が普段行っている出刃包丁の研ぎ方を紹介しました。

  • 出刃包丁は片刃。表側の切刃を研ぎ、裏側はカエリを取る程度に研ぐ
  • #1000で、刃先から鎬までをベタ付けして研ぐ(30〜40回が目安)
  • カエリを確認して、追加で研ぐか、裏押しをするか決める
  • #6000で整え、#8000で糸刃を付ける(私は#8000のときだけ)
  • 仕上げに革砥を使う
  • 研ぐ前に面直しをして、砥石の平面を整える

最初はうまくいかなくても、カエリが出ているかを確認しながら研ぐことで、少しずつ感覚がつかめてきます。

この記事が、出刃包丁を自分で研いでみたい方の参考になれば幸いです。

私が使っている砥石や革砥の詳しい紹介は、こちらの記事にまとめています。

和包丁の砥石レビュー|2年以上使った砥石と研ぎ方・メンテナンス用品を紹介

研いでいる出刃包丁の使用感は、こちらの記事で紹介しています。

源泉正の出刃包丁・切付柳を2年以上使ったレビュー|切れ味・研ぎやすさ・デメリット

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